Triton ピストン

てんてこ舞いモリスケです。
昨夜もよなよな寝る時間を削りTritonと戯れておりました。
トライトンの、つまりトライアンフTR6(1969年式)エンジンの
シリンダーバレルです。


縦溝が入ってますねぇ~~~そりゃオイル上がるね。
クロスハッチもほぼ消えてしまっております。
ピストンとシリンダーとのクリアランスを計測します。

ピストンスカート部の
直径を計測します。

したらばダイヤルゲージで
ピストンの直径を基準の"0"とします。

ダイヤルゲージをシリンダーにいれ、
基準から何ミリ広いかを計測。
ダイヤルゲージの1目盛りが
1/100(0.001)mmなのですが、
エンジン内部は1/100mmの誤差が
命取りにある場合があるので、
計測も加工も超神経質になります。
計測するとシリンダーの左右ともピストンクリアランスは
145/1000mm(0.145mm)。
なかなか広くなっております。
男性がわかりやすい表現の仕方すると、
締まりが悪い
状態です。
このピストンの指定クリアランスは0.0045インチ(0.114mm)~
0.0050インチ(0.127mm)ですので、
だいぶ広くなっております。
まぁ正規のクリアランスでも現代のエンジンから考えたら
ありえないクリアランスですよね。
SRなんかは0.05mmだったりします。
ほんで左がもともと入っていたピストン、右が新品のピストン。

きれいでしょ。
男性がわかりやすい表現をすると
童貞のピストンです。
違うか。

で、左右のピストンの重量差をこの昭和天秤式測りで計測すると、
右が265グラム、左が271グラムと重量さなんと6グラム!!
これは未だかつて味わったことない屈辱的重量差です。
これではあきません。
左右ピストンの重量合わせを行い重量差を限りなくゼロにします。
これがまさに、
チューニング=調律
決して速くする為のものではありません。
エンジンの性能を本来設計されたモノ100%に近づけるだけです。
じゃあどうやってピストンを軽くするのか。
それは単純、
削る!!
リューターを用いて慎重にかつ大胆に、6グラム分を削り落とします。
ただしこれが難しい、削っていいとこ悪いとこ、
エンジンの爆発の物凄い力を受け止めるピストンに
強度はとても重要な部分なのに、切削して肉が薄くなるとその分強度は低下します。
だからそこは削っていいとこ悪いとこ、経験と指先の感覚だけが頼り。

こんな感じで削りとれる所は削り、手をつけないところはそのままで、
削っていきます。
決して削りすぎは禁物ですが、もうこれ以上削れないところまで削って
ピストン重量を計測すると・・・
266.5グラム
まだ1.5グラム重いわけです。
あとはピストンピンを1.5グラム軽量して合わせるしかないですね。
お客様のバイクのレストアでは通常ここまでやりません。
手間がかかるという事は工賃=お金がかかるということ。
予算に合わせていろいろさせて頂きますのでご相談下さい。
by morisuke_aldgate | 2010-06-05 13:35 | Triton復活