Triton ピストン

まいどぉ~~~029.gif

てんてこ舞いモリスケです。

昨夜もよなよな寝る時間を削りTritonと戯れておりました。

トライトンの、つまりトライアンフTR6(1969年式)エンジンの

シリンダーバレルです。

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縦溝が入ってますねぇ~~~そりゃオイル上がるね。

クロスハッチもほぼ消えてしまっております。

ピストンとシリンダーとのクリアランスを計測します。

Triton ピストン_f0205962_11153538.jpgマイクロメーターで

ピストンスカート部の

直径を計測します。








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したらばダイヤルゲージで

ピストンの直径を基準の"0"とします。








Triton ピストン_f0205962_11381683.jpgそれで基準0を出した

ダイヤルゲージをシリンダーにいれ、

基準から何ミリ広いかを計測。

ダイヤルゲージの1目盛りが

1/100(0.001)mmなのですが、

エンジン内部は1/100mmの誤差が

命取りにある場合があるので、

計測も加工も超神経質になります。







計測するとシリンダーの左右ともピストンクリアランスは

145/1000mm(0.145mm)。

なかなか広くなっております。

男性がわかりやすい表現の仕方すると、




締まりが悪い




状態です。
このピストンの指定クリアランスは0.0045インチ(0.114mm)~

0.0050インチ(0.127mm)ですので、

だいぶ広くなっております。

まぁ正規のクリアランスでも現代のエンジンから考えたら

ありえないクリアランスですよね。

SRなんかは0.05mmだったりします。








ほんで左がもともと入っていたピストン、右が新品のピストン。

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きれいでしょ。

男性がわかりやすい表現をすると

童貞のピストンです。




違うか。



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で、左右のピストンの重量差をこの昭和天秤式測りで計測すると、

右が265グラム、左が271グラムと重量さなんと6グラム!!

これは未だかつて味わったことない屈辱的重量差です。

これではあきません。

左右ピストンの重量合わせを行い重量差を限りなくゼロにします。

これがまさに、





チューニング=調律





決して速くする為のものではありません。

エンジンの性能を本来設計されたモノ100%に近づけるだけです。

じゃあどうやってピストンを軽くするのか。

それは単純、








削る!!






リューターを用いて慎重にかつ大胆に、6グラム分を削り落とします。

ただしこれが難しい、削っていいとこ悪いとこ、

エンジンの爆発の物凄い力を受け止めるピストンに

強度はとても重要な部分なのに、切削して肉が薄くなるとその分強度は低下します。

だからそこは削っていいとこ悪いとこ、経験と指先の感覚だけが頼り。

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こんな感じで削りとれる所は削り、手をつけないところはそのままで、

削っていきます。

決して削りすぎは禁物ですが、もうこれ以上削れないところまで削って

ピストン重量を計測すると・・・








266.5グラム






まだ1.5グラム重いわけです。

あとはピストンピンを1.5グラム軽量して合わせるしかないですね。

お客様のバイクのレストアでは通常ここまでやりません。

手間がかかるという事は工賃=お金がかかるということ。

予算に合わせていろいろさせて頂きますのでご相談下さい。

by morisuke_aldgate | 2010-06-05 13:35 | Triton復活  

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