オイル交換のすゝめ

天は人の上に人を作り、人の下に人を作ったと感じるモリスケです。
日頃から口をすっぱくしてオイル交換をしましょう、オイル交換をしましょうと
言っておりますが、モリスケの推奨するオイル交換時期は2,000kmです。
その根拠の一つは以前お話しましたが、
もひとつSRを例に挙げてお話しておきましょう。
こちらがSRの『オイルポンプ』です。

ギアを介してこれが回ることでエンジンの各部にオイルを送っており、
このオイルポンプはクランクケース右側、クラッチの奥にこの様な形で潜んでおります。

ではクランクケースを左右に分割して内側からオイルポンプの様子を見てみましょう。

クランクケースの内側からオイルポンプを見た状態です。
本来ここはフタがされておりますが、
大きく3つの部屋に仕切られているのがお分かり頂けるでしょうか。
拡大してみます。

3つの部屋+2つの穴が主にオイルの通る部屋です。
それぞれのオイルの通り道を説明しますと、
①オイルポンプからオイルフィルターを通過後、
クランクシャフトとヘッド(ロッカー)に行くオイル通路(送り)
②クランクシャフトやロッカーからエンジンの各部を回って汚れたオイルが、
エンジン下部の『オイルストレーナー(エンジン側のドレンがある部分)』に溜まり、
そのオイルがオイルポンプに向かう通路
③オイルストレーナーから吸い上げられた最も汚れたオイルがオイルポンプにより
一方は青矢印の方からフレームのオイルタンクへ、
一方は⑤の穴からクラッチリリースシャフトへ
④オイルタンクからオイルポンプへ向かうオイルが通る穴
⑤オイルポンプからこの穴を通ってクラッチリリースシャフトへ
ではクランクケース左側の画像です。

④’ オイルタンクから流れてきたオイルがこの④’から④の穴へと流れ、オイルポンプに向かいます
⑤’ オイルポンプから③の部屋を通り一方は青矢印のオイルタンクの方へ、
もう一方の⑤から出てくるオイルが⑤’を通り、クラッチリリースを潤滑後、
クラッチプッシュロッド、メインシャフト、クラッチを潤滑していきます
ではまずクラッチリリースシャフトとは?

クラッチケーブルが
繋がってクラッチレバー握ると
クルクルと動くもの、これが、
クラッチリリースシャフトです。
クラッチレバーを握った時、
このクラッチリリースシャフトが回転し、プッシュロッドを押す事でクラッチが切れる仕組み。

左からクラッチリリースシャフト、細長いプッシュロッド①、キノコみたいなプッシュロッド②、クラッチ。
エンジンの中ではプッシュロッドは、下のミッションメインシャフトの中を通っているので、
本来はこんな感じ。

もう少しイメージしやすくすると、先ほどの⑤’の穴の下から
クラッチリリースシャフトのクラッチケーブルを繋いだ方と反対側の先端が顔を出し
それと接するようにプッシュロッドが付いております。

そしてプッシュロッドはメインシャフトの中に入ってます。

そしてメインシャフトの先端にはクラッチが組みつけられます。

オイルの一連の流れがイメージできたでしょうか。
A-オイルタンクから来たオイルがオイルポンプへ
B-オイルポンプからオイルフィルターへ
C-オイルフィルターで濾過されてクランクシャフトとヘッドへ
D-潤滑して汚れたオイルはオイルストレーナーに溜まる
E-オイルポンプによりストレーナーから吸い上げられた汚れたオイルの一方はオイルタンクへ、
もう一方はクラッチリリースシャフト(を通してプッシュロッド、メインシャフト、クラッチを潤滑後ストレーナーに落ちる)
さぁイメージできたでしょうか。
オイル交換をしよう、という大義名分で始めたこの話し、なぜここまで説明したかといいますと・・・
もうお気づきですか?
⑤と⑤’を通ってクラッチリリースシャフトとプッシュロッド、ミッションメインシャフト、クラッチを
潤滑しているオイルは、
『クランクシャフトやヘッドを潤滑してストレーナーに溜まって
オイルポンプが吸い上げたオイルフィルターを通さない鉄粉混ざったオイル』
なのです。
鉄粉混ざりのオイルをグルグルとそこの一部でまわしているのですよ。
だから早めにその鉄粉を取り去る他、
プッシュロッドやクラッチ、ミッションの磨耗を防ぐ術は無いのであります。
もちろんオイルタンクに戻すオイルも③の通路を通るわけですから、
エンジンの中を回ってストレーナーから吸いあげた汚れたオイルが流れております。
この理由から、オイルタンクに戻すホースからバイパスを作って、
ヘッドを潤滑させるオイルラインの増設をモリスケがあまりオススメしてないのです。
逆にロッカーやカムを傷つける恐れがあるので。
信じるか信じないかはアナタ次第です。
2,000km以下でのオイル交換をオススメしますが強制はしません。
2,000kmでオイル交換するか3,000kmまで走るかはあなた次第です。
たかが1,000kmの差ですが、2,000kmを超えてどんどん劣化していくオイルは
さらに多くの鉄粉を生む事でしょう。
脅迫に聞こえたらごめんなさいね。
そういえばモリスケが大学生のピークの頃、週1回オイル交換してました。
京都の周山街道という峠道ををひたすら走る走る走る、
同じ山を1日で何往復も練習してたら1週間で1,500kmなんてあたりまえでした。
SRでR1やCB1300とバトルしてみたりと若気の至りでしたね。
ただそんだけエンジン回してても、1,500kmでオイル交換してましたから、
500のクランク組み替えたときも、ベアリングとオイルシール以外は
再利用可能な状態でした。
脅迫に聞こえたらごめんなさいね。
by morisuke_aldgate | 2010-09-22 03:55 | 整備日誌