Triton クランク

尖閣諸島に墓を立てたいモリスケです。
さてさてようやくエンジンパーツや外注加工も戻ってきて
いよいよ組むだけになった言い訳できない我がTritonのエンジンを
そろそろ組み始めないと11月7日のIsle Of Kyusyuに間に合わないので、
少しずつ進めていきます。
とは言っても今日は明日の結婚式の準備をせねばなりませんので、
クランクケースのベアリング交換とクランクシャフトの組立くらいですが・・・


Triumph Unit 650ccの組立式クランクシャフトのスラッジパイプを洗浄し、
クランクシャフトのウェイト部分を削り数百グラム軽量したところで、
クランクの芯出しをしてからバランスをとります。
7.1g分の穴を開け、かなりいい動バランスが取れております。
そしてクランクピンをラッピングしてから
新しいメタルを入れたコンロッドを組みつけていくわけですが、
コンロッドはペーパーをかけて細かな傷を取り去った後に、
バフがけをして参ります。
バフ掛けするのは【見た目がキレイだから】という浅はかな理由ではなく、
細かな傷を起点として発生する亀裂を避けるためで、
例えばカップラーメンの体液スープ、基、液体スープなどのビニールパッケージは
縁に切り欠きが入っている事で簡単に破れるはずです。
これを専門用語で、
ノッチ・エフェクト
といい、極端に強度を低下させるのです。
従来エンジンを構成する部品は頑丈に作られており、
一回大きな力が加わって壊れるような部品はなく、
壊れるとすれば磨耗や疲労破壊、熱応力などの経時的な要因によるもので、
ピストンではノッキングによる高温で局部的に融け、破壊が全体に行き渡る事があります。
純正のSR400用ピストンを用いてパワーアップを図った時のようにね。
コンロッドはとりわけ大きな引っ張りと圧縮の繰返し応力を受け、さらに曲げ応力も作用し、
軸方向の力と曲げによる力が同時に作用するときの応力を与える値は、
それぞれの応力の二乗の和の平方根となる。
そこでロッド部分の表面をバフ研磨やプラストによって凹凸を除去することにより、
最初に応力が集中する傷を取り除けば疲労破壊強度が向上するため、
いちいちコンロッドをバフ掛けするのです。
そしてコンロッドの左右の重量をあわせ、ベアリングをはめて組みつけていきます。
ここのクランクピンとベアリングとのクリアランスは本当に神経質になります。
狭くても広くても焼きつきの原因になるので、プラスチゲージを当てながら
クリアランスを調整していきます。
最も確実なのはアンダーサイズのベアリングに変更し、
コンロッドに規定トルクで組み付けた状態でボーリングし、
その数値を基準にクランクピンを研磨してもらうのが一番確実なんですが、
費用がかなりかさみますので、モリスケのような低所得者ブルーカラーの人間は、
プラスチゲージの値を信用しながら、クリアランスを手作業で調整していきます。
恐らく経験が浅い方には不可能な作業です。
ピンやコンロッドのベアリング側の真円がでなくなるでしょう。

最後に組み付けてガタは無いけどスムーズに動き、引っ掛かりが無く、
オイルの抵抗だけを感じるという絶妙なところまで持っていくのですが、
ここら辺は全て指先の感覚だけが頼り。
神経使いますがこの作業を入念にするかしないかでエンジンの寿命は大幅に変わります。
あなたのエンジン大丈夫ですか??
《お知らせ》
10月23日(土) 臨時休業で閉店しております。
10月24日(日) 13時OPENです。
ご迷惑をおかけしますが宜しくお願いいたします。
by morisuke_aldgate | 2010-10-22 22:52 | Triton復活