Triton修理

モリスケです。
10月からのタバコの値上げ以来、禁煙外来にかかる患者が急上昇しており、
JTも危機感を募らせているそうですが、ALDGATEのお客様で禁煙始めた、って方は皆無ですね。
ECHOに変更したようやくECHOの良さを認識したお客様は増えましたが、
値段上がったからってタバコはやめられましぇんね。
吸いたくなければ吸わなくていいし、吸いたけりゃ吸えばいいし、
病院に行ってまで禁煙してタバコ代浮かせたところで、
浮いたはずのお金は意外と残らない、そんなもんです。
タバコ吸って税金納めましょう。
JTと煙草生産農家のお役に立ちましょう。
さぁ本日定休日ももちろん出勤しているモリスケですが、
今日はお客様の車両の整備をした後に我がTritonの整備をしておりました。
ちょっとずつ進んでますが、やはりお客様のお預かり車両が先決ですので、
3歩進んで2歩下がっております。

さぁこれは何をやっているところでしょう?
トラのエンジン組んだ事ある方はお分かりかと思います。

正解は『タペットガイドブロックの研磨』
トラでもっともオイル漏れがしやすい部分と言っても過言ではない、
タペットガイドブロックですが、
このタペットガイドブロックの上にプッシュロッドチューブがはまり、
その間にOリングが入るのですが、Oリングの密着を少しでも良くするために
ツルツルにしてあげてます。
これをして適切な厚さのOリングを入れてやる事で
ここからのオイル漏れは回避できます。
しばらくは・・・・

さてカムシャフトブッシュも全て交換し、組み付けたタイミングギアです。
真ん中のインターメディエートギアのスピンドルは本来クランクケースに圧入されていますが、
モリスケのエンジンはばらした時からそのスピンドルにガタがあり、
手でスポスポ抜けてしまう状態でした。
ここにガタがあるとエンジンを回せば回すほどガタは大きくなっていくので、
決して見逃せないポイントですが、
今までこの症状の場合はスピンドルにハードクロムをかけて肉盛りしてましたが、
それを行うのを忘れておりまして、
急遽熊本のトラヴィスサイクルズさんより
10/100mmオーバーサイズのスピンドルを入手したので、
それを8/100mmになるよう旋盤で削り、クランクケースを暖めて圧入しました。
ガタがあるとタイミングサイドよりギアの回転音が大きくなるので要注意。

こちらは上のタイミングギアー類の上から被せるタイミングカバーで、
この中央の穴が先ほどのインターメディエートギアスピンドルの軸受けとなり、
この穴からスピンドルにオイルが落ち、ギアのブッシュを潤滑するわけです。
オイルがスピンドルに流れやすいように小細工を施してあります。
『私は純正が1番』って方はどーぞ小細工などせず純正のまま組んで、
磨耗したブッシュを交換してくださいね。
そして上の画像に見える金色の物体がオイルポンプでございます。
今回は純正のオイルポンプに傷が入っていたので、
MORGOのプランジャー式強化オイルポンプを取り付けました。
MORGO等の強化オイルポンプを組み付ける際は
下のオイルプレッシャーリリースバルブの強化もお忘れないよう。

右が純正のリリースバルブで、左は英国の社外品のステンレス製リリースバルブを
さらにモリスケが小細工したリリースバルブですが、
このオイルプレッシャーリリースバルブとは名前の通り、
オイルポンプの油圧がかかりすぎた際に、バルブが開いて油圧を逃がす為のもので、
いくら強化オイルポンプを入れたところで、
バルブ内のスプリングの張力が弱っていれば、油圧はどんどん逃げていきます。
宝の持ち腐れです。
社外品に変える必要までないですが、スプリングはちゃんとした張力の物に交換しましょう。

これがトラの4速ミッションです。
ユニットエンジンといえどもクランクケース内でミッションの部屋は独立しており、
オイルもエンジンオイルとは異なるギア専用オイルを使用します。
画像の垂れてきている黒い液体は決して汚れではありません。
全て分解・洗浄後、必要なブッシュは入れ替えて新たに組み付けた所ですが、
画像の黒いゴマダレはギアを組み付けるときに使用する特殊な液体で、
特にブッシュやギアを新品に入れ替えた際は使っておいた方がいい液体です。
特殊と言いましても国内の問屋さんから購入できるケミカルですので、
ちょっと気になる英車販売店のスタッフさんはご連絡ください。
さぁ続いてこれもまた難儀なパーツの製作・交換です。

キックスターターギアのストッパーも本来ミッションカバーに圧入されておりますが、
ガタが出てきて手でスポスポ抜けちゃう、換言すると手コキ仕様になっておりました。
随分前からガタは来てたのでしょうが、
そこに高校時代100mを最高11.9秒で走り抜けたモリスケの右足でキックするもんだから
ミッションカバー側の穴も楕円になっておりました。
ま、ここにガタがでるのはよくある話し、今回はケース側の穴も楕円になっていたと言う事もあり、
穴をまず10.50mmに拡大し、その穴に合わせたストッパーを旋盤で削りだしていきます。

だいぶ年季の入っている旋盤ですが、昭和に製造された機械はやはり良い。
メンテナンスをしてやればちゃんと働いてくれます。
業界初体験入店3日目の19歳生娘より、
熟女コースの三十路女性の方がいい仕事する、という事でしょうか。
違うか。
頑張れ昭和生まれ。
という分けで三十路熟女と戯れながら製作したストッパー。

左がガタが来てた純正ストッパー、右が新たに製作したストッパー。
若干太くなっているのがお分かりでしょうか?
下穴を10.50mmで開けてあるので、ストッパーは5/100mmオーバーサイズの
直径10.55mmで製作し、カバーをコンロで熱して膨張させたら圧入。
まぁ、英車を修理するに当たっては色々とこういうガタが出ているので、
そこをちゃんと修理してやるかしてやらないかで今後の寿命も、乗り心地も変わります。
SRのように新品の部品を注文して交換、はい出来上がりと言うわけにいかないのです。
新品の部品を注文しても加工しないと取り付けできないことなどザラですし、
最低限、溶接・旋盤・フライス盤等の機械が使えなければまともな修理はできません。
英車の修理をすればするほど、
やっぱ日本の加工精度は優れているなぁ~~~と改めて関心します。
頑張れ日本のものづくり。
by morisuke_aldgate | 2010-10-28 00:45 | Triton復活